ことばの相談だより〜子どもの頃から発音が気になっていた口蓋裂のあるGさん(成人)のおはなし〜
はじめに
子どもの頃から、ご自身の発音が気になっていたGさん。
Gさんには「口蓋裂※」と呼ばれる生まれつきの病気があり、幼い頃から手術等の治療を受けてきたそうです。
※日本では約500人に1人の割合で生じるとされ、日本人に比較的多い先天性疾患の一つです。
発音についても、小学生の頃にことばの教室にも通われていたそうですが、事情があって継続できなくなり、そのままになってしまっていたとのことでした。
伝わりづらさを感じながら、なんとか工夫をして学校や職場でのやり取りをしてきたとのことですが、どうしても伝わらないようなこともあり、ときには筆談をすることもあったとのことでした。
長く悩まれた中で、「大人になってからでも改善するのかどうかを知りたい」というご相談を法人にいただきました。
言語療法で発音が改善するかどうかは、年齢はあまり関係ありませんが、鼻咽腔閉鎖機能※と呼ばれる機能の状態が大きく関係します。
※鼻咽腔閉鎖機能についてはこちら
Gさんは、初回相談での簡易検査の結果、発音に必要な器官については十分に機能している一方で、口蓋裂があることで獲得されてしまったと思われる「異常構音」という発音の癖がついていることが伝わりにくさの原因になっていることがわかりました。舌の動かし方の練習などを含めた言語療法で改善することが見込まれたため、その旨をご説明し、練習を開始することになりました。
Gさんの発音のようす
単語や短い文を発音していただき、Gさんの発音の特徴を確認しました。
その結果、特に舌先を使って作るサ行・ザ行・タ行・ダ行・ナ行の音に「口蓋化構音※」がみられました。
口蓋化構音は、口蓋裂の術後にみられることのある特徴的な構音の一つです。
※口蓋化構音についてはこちら
また、キ・チ・リなどのイ列の音では、「側音化構音※」もみられました。
※側音化構音についてはこちら
Gさんご自身も、これらの音の言いづらさを以前から自覚されていました。
そこで、まずは一つ一つの音について、舌の位置や息の出し方を確認しながら、正しい音を作るところから練習を始めることになりました。
練習のようす
Gさんは、毎回とても意欲的に練習に取り組んでくださっています。
練習のたびに提案するご家庭での練習にも欠かさず取り組まれ、音の出し方が分かると「楽しい」と話してくださいます。
「この音は、こうやって作られているんだ」と、舌の動かし方や息の出し方の変化を一つ一つ発見していくことが、Gさんにとって楽しい時間になっているようです。
練習を開始してから1年が経ち、これまで誤りのあった音についても、正しい位置で作ることができるようになりました。
Gさんは、練習で確認した音の作り方を忠実に再現し、ご家庭でも継続して練習されています。その積み重ねによって、少しずつ安定して正しい音を使えるようになってきました。
音を正しく作れるようになった後は、単語、短い文、そして会話へと、少しずつ長い発話の中でもその音を使えるように練習していきます。
現在、Gさんは短い文の中で正しい音を使う練習に取り組んでいます。
STからひとこと
「子どもの頃から発音が気になっていたけれど、今さら発音の相談をしてもいいのでしょうか」
当法人には、このようなご相談をくださる大人の方もいらっしゃいます。
大人になってから「もう少しきれいに発音できるようになりたい」「以前から気になっていた発音を改善したい」と思ったことをきっかけに、相談や練習を始める方もいらっしゃいます。
大人の方は、ご自身の発音を客観的に振り返ることができ、「どの音が言いづらいのか」「どのように音が変わっているのか」といったことを一緒に確認しながら、練習を進めやすいという強みがあります。
特にGさんのように、ご自身の発音への気づきがあり、音の作り方を理解しながら練習に取り組めることは、発音の改善を進めるうえで大きな力になります。
当法人では、口蓋裂の発音について専門的な知識と経験をもつ言語聴覚士が発音の評価・練習を行っています。
発音練習は、言語聴覚士が一人ひとりの発音の特徴を確認したうえで、その方に合った方法をご提案します。
「子どもの頃から気になっていたけれど、今からでも相談できるのかな」「口蓋裂があるが、言語療法を受けられる場所が地域に足りない」「特定の音が言いづらい」
そのような方も、まずはお気軽にご相談ください。

実際の利用者様の経過に基づいて国家資格を持つ言語聴覚士が執筆しておりますが、利用者の方のプライバシー保護のため特定の個人が推測されないよう、複数の類似症例を統合したり、背景設定を変更したりして構成しています。ご紹介する経過や結果は、あくまで当法人で実施している実際のオンラインことばの相談・言語療法に基づいた一例として参考にしてください。
当法人は、発音やことばに関して悩み事があるけれど
・どこに相談したら良いか分からない...
・近くに言語聴覚士のいる機関がない...
・待機期間が長い状態になっている...
・年齢制限のために言語療法が受けられない...
などの場合にも、どなたも言語聴覚士に繋がりやすい社会を目指して活動を行っています。
お住まいの自治体で受けられる支援制度をできるだけ活用しやすいよう、できる限り対応いたしますので、ご心配なことがあればいつでもご相談ください。
当法人のオンライン言語療法をご検討の方は、まずはオンラインの無料相談へのお申し込みをお願いいたします。
言語聴覚士が問診・検査等を行った上で、言語療法の必要性の有無などについてもご相談をお受けしています。
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